
この記事でわかること
- 製品開発OEMの基本的な考え方と、ODMとの違い
- 「試作できる会社」と「量産まで任せられる会社」の違い
- 委託先を見極めるための2つのチェックポイント
- 試作費と量産単価を分けて見積もりを比べる方法
「試作機はうまく動いたのに、量産に入った途端に話が進まなくなった」
「試作と量産で、委託先を探し直すことになった」
こうした声は、ハードウェア開発の現場で決して珍しくありません。
試作まではできても、量産や出荷後まで任せられるかどうかは、委託先によって大きく変わります。

この記事では、サイネージに限らずハードウェア全般を対象に、製品開発OEMの委託先を選ぶときに見るべきポイントを整理します。
1. 製品開発OEMとは?自社で作らずに自社製品を持つ方法
製品開発OEM(Original Equipment Manufacturing:相手先ブランドでの製造)とは、自社ブランドの製品を外部のメーカーに製造してもらう方法です。
工場や生産設備を持たなくても、自社製品として販売できる点が大きな特徴といえます。
OEMとODMの違い
よく似た言葉に、ODM(Original Design Manufacturing:設計から製造までを委託先が担う方式)があります。
| 項目 | OEM | ODM |
|---|---|---|
| 設計の担い手 | 発注側(自社) | 委託先 |
| 委託先の主な役割 | 仕様・設計に基づく製造 | 設計から製造まで一貫対応 |
| 自社に求められること | 仕様書・設計データの用意 | 企画・要件の整理 |
| 向いているケース | 社内に設計の知見・体制がある | 構想はあるが設計体制がない |
実際の開発では両者の境界があいまいなことも多く、「社内でどこまで担うか」によって委託先に求める役割が変わります。
Point
委託先を探す前に、「企画だけ社内で持つのか」「設計まで社内で行うのか」を決めておくと、相談内容がぶれにくくなります。
2. 「作れる会社」と「量産まで任せられる会社」は何が違うのか
試作と量産では、委託先に問われる力がまったく異なります。
【試作段階と量産・出荷後で問われることの違い】
| 観点 | 試作の段階 | 量産・出荷後 |
|---|---|---|
| 主に問われること | 仕様どおりに動くか | 同じ品質で安定してつくり続けられるか |
| 部品 | 手に入る部品で形にする | 長期的に安定調達できる部品を選ぶ |
| 検査 | 動作確認が中心 | 検査方法・基準を工程に組み込む |
| 認証 | 必須ではない場合が多い | 製品の種類や販売地域に応じた法規制・要求事項への対応を確認 |
| 出荷後 | ― | 不具合対応・ファームウェア更新 |
たとえば「試作で使った部品が量産時には手に入らず、基板の設計をやり直すことになった」というケースは、試作だけを見て委託先を選んだときに起こりやすい典型例です。
試作の完成度が高くても、量産を前提に設計されていなければ、後から大きな手戻りが発生します。

量産で起こりやすい課題については、関連記事「量産化の壁とは?」でも詳しく解説しています。
3. 見分けるポイント①:試作の段階で、量産の話が出てくるか
量産まで任せられる会社は、試作の打ち合わせの時点から量産を見据えた提案をしてくれます。
次のような話題が出てくるかどうかが、見極めの目安です。
- 代替部品の提案
生産終了や品薄になりそうな部品を、早めに別の部品へ置き換える - 検査方法の相談
量産時にどの工程で、何をどう検査するか - 組み立てやすさの工夫
量産時の作業時間やミスを減らす構造になっているか - 認証を見据えた設計
製品の種類や販売地域に応じて、PSE(電気用品安全法)やEMC(電磁両立性)などの適用要件を設計段階から確認しているか
ギガテックでは、試作段階から量産時の部品調達性、代替部品の確保、組立工程、検査方法などを考慮して設計を進めています。
これらは、打ち合わせでこちらから質問してみると確かめやすくなります。
具体的な答えが返ってくるかどうかが、量産への備えを見極める判断材料になります。
特に制御基板や通信機能を伴う製品では、試作時に使用できる部品であっても、量産時の安定供給やコストを踏まえて仕様を検討しています。
4. 見分けるポイント②:出荷後まで相談できる体制があるか
ハードウェア製品は、出荷して終わりではありません。
出荷後の運用を通じて、新たな課題が見えてくることもあります。
ハード・ソフト・通信を別々の会社に依頼していると、不具合が起きたときに「どこに原因があるのか」の切り分けに時間がかかりがちです。
窓口が分かれているほど、対応も遅れやすくなります。
委託先を選ぶ前に確認したい4つのこと
- ハード・ソフト・通信をまとめて相談できるか
- ファームウェア(機器を制御する組み込みソフト)の更新に対応できるか
- 不具合が起きたときの窓口と対応の流れが決まっているか
- 出荷後の稼働状況を把握する仕組みを提案してもらえるか

ギガテックでは、ハードウェア設計・制御設計・基板設計・インターフェイス構築・システム連携をまとめて設計しています。
たとえば電子ペーパー製品では、端末のオンライン状態や配信ログ、エラー履歴を管理画面で確認でき、中継機器を通じて遠隔から通信設定を変更できる仕組みまで含めて開発しています。
IoT機器での注意点は、関連記事「IoTデバイスのOEM開発で失敗しないために」もあわせてご覧ください。
ギガテックの出荷後の対応体制
基本的には日本側をお客様との窓口とし、製品の仕様や不具合の内容に応じて、上海側の技術・製造担当者と連携して対応しています。
不具合が発生した場合は、まず症状や使用状況を確認し、原因を切り分けたうえで、必要に応じて部品交換、基板交換、ソフトウェアの修正などを検討します。
なお、対応範囲や保守条件は製品ごとに異なるため、個別に協議しています。
5. 見積もりの見方:試作費と量産単価を分けて比べる
委託先を比較するとき、試作の見積もりだけで判断してしまうのは危険です。
試作費が安くても、量産単価が割高になるケースがあるためです。
見積もりを比べる際は、費用を次の4つに分けて確認しましょう。
- 試作費
設計費、試作機の製作費 - 初期費用
金型費、治具費(組み立てや検査に使う専用の道具)、認証取得費 - 量産単価
ロット数(一度に生産する数量)ごとの1台あたりの価格 - 出荷後の費用
保守、ファームウェア更新の対応費
【見積もり比較時に確認したい費用項目】
| 費用項目 | 主な内容 | 比較時の確認ポイント |
|---|---|---|
| 試作費 | 設計費、試作機の製作費 | 試作台数・修正回数が含まれているか |
| 初期費用 | 金型費、治具費、認証取得費 | 見積もりに含まれているか、別途請求か |
| 量産単価 | ロット数ごとの1台あたりの価格 | 同じ想定数量で比較しているか |
| 出荷後の費用 | 保守、ファームウェア更新の対応費 | 対応範囲と費用の発生条件 |
たとえば「A社のほうが試作費は安かったものの、量産の見積もりを取り直すとB社より単価が高かった」ということも起こり得ます。
Point
複数社に見積もりを依頼するときは、想定する量産数を同じ条件で伝えることが比較の前提になります。
ギガテックの最小ロットと数量別単価
ギガテックでは、最小ロットは製品の種類や仕様によって異なるため、一律には設定していません。
既存プラットフォームを活用する製品と、制御基板や筐体から新規開発する製品では、生産数量の条件も異なります。
数量が増えることで製造単価の低減が期待できますが、具体的な価格については仕様・数量・生産条件に応じて個別に見積もりしています。
よくある質問(Q&A)
Q. 数百台程度の少量でもOEMを依頼できますか?
A. 委託先によって対応できる最小ロットは異なります。
少量生産を想定している場合は、最初の相談時に想定数量を伝え、対応可否と単価の目安を確認しておくと安心です。
Q. 設計図や仕様書がなくても相談できますか?
A. ODM(設計から委託先が担う方式)に対応している会社であれば、構想段階からの相談も可能です。
ギガテックでも、構想段階から量産までを一貫して支援しています。
Q. 試作と量産を別の会社に分けて依頼してもよいですか?
A. 不可能ではありませんが、設計の引き継ぎで手戻りが生じやすくなります。
量産を見据えるなら、試作から同じ会社に任せるほうがスムーズに進みやすいといえます。
6. まとめ:製品開発OEMは「量産後」まで見て選ぶ
製品開発OEMの委託先は、試作の対応力だけでなく、量産・出荷後まで任せられるかを基準に選ぶことが大切です。
次の3点を押さえるだけでも、委託先選びの失敗は大きく減らせます。
- 試作の段階で、量産の話が出てくるか
- 出荷後まで相談できる体制があるか
- 見積もりを試作費と量産単価に分けて比べられるか
あわせて読みたい関連記事
委託先との打ち合わせ前に確認してみてください
次の項目を整理しておくと、委託先との打ち合わせがスムーズに進みます。
- 製品の用途と、使われる環境(屋内・屋外など)は整理できているか
- 想定する量産規模(初回ロット・年間の生産数)は見えているか
- 社内で担う範囲(企画のみ/設計までなど)は決まっているか
- 出荷後の運用体制(保守や更新を誰が担うか)は考えているか
- 予算感(試作・量産それぞれの目安)はあるか
委託先選びで迷ったら、ご相談ください
- 試作はできたが、量産を任せられる会社が見つからない
- 複数社の見積もりを、どう比べればよいかわからない
- ハードとソフトを別々の会社に頼んでいて、連携に不安がある
- 構想はあるが、どこから相談すればよいかわからない

試作の先にある壁を、
「量産まで見据えた設計」で突破。
「試作はできたのに、量産に進めない」——そんな状況に直面していませんか?
製品開発OEMの委託先選びは、“作れるか”だけでなく“量産・出荷後まで任せられるか”が重要になります。
試作段階の設計判断が、量産時のコストや品質を大きく左右します。
ギガテックグループは、構想段階から量産までを統合的に支援する実装パートナー。
委託先選びの段階からでも、お気軽にご相談ください。

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