RFIDの基礎知識(1)構造編

RFIDの基礎知識(1)構造編

RFID(Radio Frequency identification)はRFタグによる電波(を利用した無線通信)を使い、データを非接触で識別する技術・システムのことです。

RFIDには様々な種類がありますが、私たちの身近なところでは「Suica」や「Pasmo」などの交通系ICカードでもこのシステムが使われています。また、在庫・資産管理や位置情報把握など、小売りや流通といった場面でもRFIDタグを利用したこのシステムが導入され始めています。

RFタグは近年世界的に大量生産がされて価格が低下の傾向にあり、RFIDの導入はDX化の波に乗って、再度注目が集まっています。

RFIDシステム構成

RFIDシステムを使用するためにはRFタグはもちろん、データを読み取るリーダー、アンテナ、そしてデータ処理を行うPCなどの上位機器が必要です。

RFタグ

ID情報持つチップを埋め込んだ媒体。無線電波で通信ができる。ICタグ、無線タグ、RFIDタグと呼称は様々あるが、日本工業規格(JIS)ではRFタグと定められている。

RFIDリーダー(およびライター)

RFタグの情報の読み取り、書き換えを行う機器。電波をRFタグに送ることでRFタグのチップが対応し、返した電波から情報を読み取る。

アンテナ

リーダーがRFIDのデータを読み書きするために電波を送受信する機器で、リーダーと一体型と分離型がある。リーダーがハンディタイプ、ゲートタイプは前者、据え置きタイプは後者が多い。ICチップが通信する周波数に合ったものが必要。

通信の流れ

①RFIDリーダーが電波を発信

②RFIDタグが電波を受信

③受信によってRFIDタグに電流が流れ、タグのチップ内の情報を信号化して返信

④アンテナが返信された電波を受信

⑤アンテナ、リーダー(内のコントローラー)を通じ、パソコンなど上位機器にデータを送信

⑥上位機器でデータを処理

 

タグの種類

パッシブタグ、アクティブタグ、両方を組み合わせたセミパッシブタグまたはセミアクティブタグの3種類がある。

パッシブタグ(Passive Tag/受動タグ)

電池非内蔵型で外部からの電波に反応し、無線通信を行う。電池内蔵型のアクティブタグと比べて通信距離は短いが、電池を必要としないため恒久的に使える、また近年安価で導入できるようになっため、今後の普及に期待がかかっているタグ。

アクティブタグ(Active Tag/能動タグ)

電池内蔵型。通信距離はパッシブタグと比べて通信距離が長い。センサーと連携し常に自発的にデータを送信ができるので、位置情報把握や動線分析に向く。

セミパッシブまたはセミアクティブタグ(Semi Passive Tag or Semi-Active tag

電池を内蔵しながらも、外部の電波に反応して無線通信を行う。パッシブとアクティブの両方を兼ね備えているので、電池を省エネできる。限られたエリアや時間での使用に向く。

パッシブタグ

セミパッシブタグ

セミアクティブタグ

アクティブタグ

電力

アンテナからの電力 アンテナからの電力と内蔵電池 内蔵電池

特徴

・電池を利用していないので恒久的に使用できる

・安価

・内蔵電池のほかアンテナからの電力も使えるので省エネ

・特定エリアでなど、頻繁ではない情報発信に向いている

・タグ自ら常に情報発信が必要な状況に向いている

利用例

電子カード レースなどのタイム計測用タグ

勤怠管理、入室管理

動線分析、物品管理

RFIDタグの形状

電池の有無によって厚みや大きさが変わるので、カード型、スティック型など様々な形状のタイプが存在しています。電池非内蔵型なら小型のチップを埋め込めば良いので、薄型、小型化したラベルタイプのものもあります。

RFIDシステムの情報送信方式

RFIDシステムには電磁結合、電磁誘導、電波などによるの情報送信方式があります。

電磁結合(LF/Low Frequency/中波)

電磁誘導に含まれる方式で、周波数が135kHz。無線到達距離は約10cmです。通信距離が短く大きいアンテナが必要のため、薄型、小型化が困難です。

電磁誘導(HF/短波)

リーダーライターのコイル状アンテナからの電磁波を、タグ側のコイル状アンテナで受けてタグICの動作電力を得る。周波数は13.56MHzで、無線到達距離~約30cm、最大でも1mくらいです。電磁結合にっくらべ薄型、小型化が可能です。交通系ICカード、Felicaなどの電子マネーのNFC(Near Field Communication)、ETCカードなどに利用されています。

電波(UHF/極超短波)

電波を空間に放射して伝達する。周波数は900MHzで無線到達距離は約5mです。波長が短く小型化に有利。パッシブタグなら無線到達距離は約5m、アクティブタグなら数kmまで通信が可能になります。一括読み取りに向き、在庫管理、自動検品などに使用されています。

RFダグは上記の説明の通り、電波を使った無線通信を行うため、RFIDリーダー、アクティブタグは電波法の規制を受けます。

まとめ

RFタグといっても様々な種類があり、利用方法によって最適なものを選ぶ必要があります。

 

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